Vol.1

M&Aによる成長戦略のススメ

岡山M&Aセンター Nakai Kazuhiko

 M&Aという言葉は新聞・TV等のメディアを通じてすっかり世の中に侵略したことと思います。2019年には年間4,000件を越えるM&A案件がありました。

M&A件数の推移

 なぜM&Aが増えているのでしょうか。それは「M&Aは時間を買う戦略」だからです。
 新たな事業を一から立ち上げようとすると、市場調査、事業計画立案、事業所の準備、人材集め、商材開発・商流の確立、等々非常に長い時間を必要とします。M&Aで、既に事業として確立しているものを買収してしまえば、買収初日からいきなり売上を計上することができます。
 もちろん買収資金は必要ですが、事業を一から立ち上げるにも相応の投資が必要です。こう考えれば、M&Aとは「時間を買う」ことに他ならないのです。

(図表1)に含まれるのは上場企業や大手外資系企業によるM&Aがほとんどです。

2019年・2018年・2017年の買収金額TOP

(図表2)はここ数年買収額上位案件のリストです。IN-OUTとは日本企業による海外企業の買収案件を指します。日本の大手企業は成長性の低い日本に留まることをよしとせず、成長の余地がある海外企業を買収することで生き残ろうとしているのです。

 こうしてみるとM&Aは大手企業だけの経営戦略なのかというと、決してそうではありません。ここのところ、地方の中堅・中小企業でもM&Aを活用するケースが増加しています。
 前述のように、買い手にとってM&Aは時間を買う戦略なので、企業の成長・拡大に最も効率的な方法と言えます。これは中小企業においても同様のことが言えます。

 では「売り手」にとってはどうでしょうか。
 日本社会は高齢化が進み、地方の中堅・中小企業においては特に事業承継が大きな問題となっています。中小企業の廃業理由の実に54.6&%が後継者難によるものなのです。

中小企業の廃業理由

 適切な後継者がいない企業は、そのままでは廃業の道を辿ることになりますが、企業にはお客さんや仕入れ先もいれば、従業員もいます。廃業してしまえば、取引先が困るのはもちろん、従業員も路頭に迷うことになりかねません。しかしながらM&Aを通じて事業を承継してもらうことが出来れば、売り手にも以下のようなメリットが出てきます。
 このようにM&Aは企業の問題を解決する一つのソリューションとなり得るのです。

M&Aにおけるメリット